愛犬が突然下痢をすると、食事はどうするべきか、何か食べさせても良いのかと心配になる飼い主は多いでしょう。
元気そうに見えても、食事の与え方には注意が必要です。
この記事では、犬が下痢をした際の食事のポイントや、動物病院へ連れて行くべき危険な症状の見分け方を解説します。
【まずは確認】犬が下痢をしたときに病院へ行くべき危険な症状
犬が下痢をしていても元気で食欲がある場合は、自宅で様子を見れることもあります。
しかし、命に関わる病気が隠れている可能性も否定できません。
下痢が4〜5日以上続く場合や、これから紹介する症状が見られる場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
受診の際は、便の状態を獣医師に伝えられるように、写真を撮っておくか、可能であれば便をラップなどに包んで持っていくと診察がスムーズです。
下痢以外に嘔吐やぐったりした様子が見られる
下痢に加えて嘔吐や食欲不振、元気がないといった症状がみられる場合は、注意が必要です。
特に嘔吐と下痢が同時に起こると、体内の水分が急速に失われ、脱水症状に陥りやすくなります。
ウイルス性胃腸炎や誤飲、膵炎など、緊急性の高い病気の可能性も考えられるため、早急に動物病院で診察を受けてください。
便に血が混じっていたり、黒いタール状の便が出たりする
便に血が混じる血便は、消化管のどこかから出血しているサインです。
鮮やかな赤い血便の場合は大腸付近からの出血、黒いタール状の便の場合は胃や小腸など上部消化管からの出血が疑われます。
黒い便は、血液が胃酸によって酸化されて黒く変化したものです。
どちらのケースも、重大な病気の可能性があるため、すぐに動物病院へ向かいましょう。
ゼリー状の粘液便や水様便が続いている
便がゼリー状の粘液で覆われている場合、大腸性の下痢が考えられます。
これは大腸の粘膜が炎症を起こしているサインです。
また、水っぽさが続く水様便は小腸性の下痢の可能性があり、栄養や水分の吸収がうまくできていない状態を示します。
水様便は脱水症状を急速に進行させるため、特に注意が必要です。
子犬や老犬で体力がなく、脱水が心配な場合
子犬や老犬は、成犬に比べて体力がなく、免疫力も十分ではありません。
そのため、下痢による体力の消耗や脱水症状が重症化しやすい傾向にあります。
たとえ少量の下痢であっても、ぐったりしている様子が見られる場合は、様子を見ずに動物病院を受診することが大切です。
特に子犬は低血糖を起こす危険性もあります。
【元気がある場合】犬の下痢における食事の基本対処法
犬に下痢の症状が見られても、比較的元気で食欲もある場合は、家庭での食事管理で改善することがあります。
ただし、症状が悪化したり長引いたりする場合は、自己判断で対処を続けず、動物病院に相談しましょう。
ここでは、元気がある犬の下痢に対する食事の基本的な対処法を紹介します。
自己判断での絶食は注意!まずは胃腸を休ませることを考える
犬が下痢をすると、食事を抜く「絶食」を考えるかもしれません。
しかし、自己判断で絶食をしないようにしましょう。
特に子犬や小型犬では、絶食が低血糖を引き起こす危険性があります。
まずは半日~1日程度、消化の良いものを少量与えて胃腸を休ませることを基本とし、絶食が必要かどうかは獣医師の判断を仰ぐのが安全です。
ドッグフードはぬるま湯でふやかして消化しやすくする
下痢をしているときは、消化器官に負担をかけないことが大切です。
普段与えているドッグフードをぬるま湯でふやかすと、消化しやすくなります。
ドライフードは胃の中で水分を吸収して膨らむため、そのまま与えると消化の負担になることがあります。
ふやかすことで、消化を助けるだけでなく、同時に水分補給もできるというメリットがあります。
食事は1回の量を減らし、複数回に分けて与える
胃腸が弱っているときに一度にたくさんの食事を与えると、消化不良を起こして下痢を悪化させる可能性があります。
1日に与える食事の総量は変えずに、1回の量を減らす工夫をしましょう。
食事の回数を3~4回に増やすことで、胃腸への負担を軽減できます。
便の状態を見ながら、少しずつ元の食事の量と回数に戻していくのが理想的です。
いつでも新鮮な水が飲めるようにしておく
下痢の際は体内の水分が便と一緒に排出されるため、脱水症状に陥りやすい状態です。脱水を防ぐためには、水分だけでなく電解質(塩分)と糖分をバランス良く含んだ経口補水液が推奨されます。経口補水液を準備しておくか、医師や薬剤師に相談して適切な水分補給方法を確認しましょう。
犬の下痢の時に与えても良い食べ物の例
下痢の症状が軽く、食欲がある場合には、いつものフードの代わりに消化に良い食材を手作りで与えるのもおすすめです。
ただし、アレルギーがないことを確認し、味付けはせず、加熱して細かく刻んだりすりつぶしたりして与えましょう。
ここでは、犬の下痢の時に与えやすい食べ物の例を紹介します。
消化が良く高タンパクな鶏のささみや胸肉
鶏のささみや皮を取り除いた胸肉は、低脂肪・高タンパクで消化が良いため、弱った胃腸に負担をかけにくい食材です。
茹でて細かくほぐし、フードのトッピングやお粥に混ぜて与えると良いでしょう。
ただし、与えすぎは栄養バランスが偏る原因になるため、主食ではなくあくまで補助的に使用します。
柔らかく煮込んだかぼちゃやキャベツ
かぼちゃやキャベツ、さつまいもなどの野菜は、適度な食物繊維を含んでおり、便の状態を整えるのに役立ちます。
必ず柔らかく煮込んで、消化しやすいように細かく刻んだりペースト状にしたりして与えましょう。
特に甘みのあるかぼちゃやさつまいもは犬が好む傾向にありますが、与えすぎは糖分の過剰摂取につながるので注意が必要です。
水分補給にもなる野菜スープ
食欲が落ちていたり、あまり水を飲まなかったりする場合には、野菜を煮込んだスープを与えるのも良い方法です。
鶏肉のゆで汁や、キャベツやかぼちゃなどを煮込んだ煮汁は、水分と同時にビタミンやミネラルも補給できます。
もちろん、塩やコンソメなどの味付けは一切行わないでください。
犬が下痢をしている時に避けるべき食べ物
犬が下痢をしている際には、症状を悪化させる可能性があるため、与えるべきではない食べ物が存在します。
胃腸に負担をかける食品を避けることで、回復を早めることが期待できます。
ここでは、特に注意が必要な食べ物の種類について説明します。
脂肪分が多い肉の部位やおやつ
脂肪分が多い食べ物は消化に時間がかかり、胃腸に大きな負担をかけます。
下痢をしているときに与えると、症状を悪化させる原因になりかねません。
豚バラ肉や鶏皮、ジャーキーなどの脂質の多いおやつは避け、消化の良い低脂肪の食材を選びましょう。
チーズや牛乳などの乳製品も、乳糖不耐性の犬では下痢の原因となるため控えるのが無難です。
人間用に味付けされた加工食品
人間用に調理された食品は、犬にとって塩分、糖分、香辛料が過剰です。
これらは犬の消化器官に強い刺激を与え、下痢を悪化させるだけでなく、他の健康問題を引き起こす可能性もあります。
ハムやソーセージなどの加工食品はもちろん、食卓からのおすそ分けも絶対にやめましょう。
消化に負担をかける冷たい食べ物
冷蔵庫から出したばかりの冷たい食べ物や飲み物は、胃腸を冷やして消化酵素の働きを鈍らせ、下痢を悪化させることがあります。
食事や水分は、常温か人肌程度に温めてから与えるように心がけましょう。
胃腸を温めることで血行が促進され、消化機能の回復を助ける効果も期待できます。
なぜ下痢に?犬が下痢を起こす主な原因
犬の下痢は、さまざまな要因によって引き起こされます。
食事内容だけでなく、環境の変化や病気など、原因は多岐にわたります。
愛犬の下痢の原因を推測することは、適切な対処や再発防止につながるため重要です。
ここでは、犬が下痢を起こす代表的な原因について解説します。
フードの急な切り替えによる消化不良
ドッグフードを新しい種類に急に変更すると、犬の胃腸が変化に対応できず、消化不良を起こして下痢をすることがあります。
フードを切り替える際は、これまで与えていたフードに新しいフードを少量混ぜ、1~2週間かけて徐々にその割合を増やしていくようにしましょう。
この方法は、新しいフードへのアレルギーの有無を確認する上でも有効です。
食べ過ぎや拾い食いによる胃腸への負担
一度に大量の食事をしたり、消化能力を超えて食べ過ぎたりすると、消化が追いつかずに下痢を引き起こします。
また、散歩中の拾い食いも危険です。
腐った食べ物や異物、毒性のある植物などを口にすると、中毒や急性胃腸炎を起こし、激しい下痢や嘔吐の原因となります。
特定の食材に対する食物アレルギー
特定の食べ物に含まれるタンパク質などが原因で、アレルギー反応として下痢を起こすことがあります。
牛肉、鶏肉、乳製品、小麦、大豆などがアレルゲンとなりやすいとされています。
もし特定のフードやおやつを与えた後に下痢を繰り返すようであれば、食物アレルギーの可能性を考え、動物病院に相談しましょう。
環境の変化や大きな音などによるストレス
犬は環境の変化に敏感な動物です。
引っ越しやペットホテルへの宿泊、家族構成の変化、工事の騒音、雷などの大きな音は、犬にとって大きなストレスとなり得ます。
精神的なストレスは自律神経のバランスを乱し、腸の動きが過剰になることで下痢を引き起こすことがあります。
ウイルスや細菌、寄生虫への感染<
パルボウイルスやジステンパーウイルスなどのウイルス、サルモネラ菌やカンピロバクターなどの細菌、回虫やジアルジアなどの寄生虫に感染することでも下痢が起こります。
これらの感染症による下痢は重症化しやすく、他の犬にうつしてしまう可能性もあるため、ワクチン接種や定期的な駆虫薬の投与で予防することが重要です。
下痢を繰り返さないための食事と生活での予防策
一度下痢が治っても、何度も繰り返してしまう場合があります。
慢性的な下痢は、犬の体に大きな負担をかけるだけでなく、何らかの病気が隠れているサインかもしれません。
日々の食事や生活習慣を見直すことで、下痢の再発を予防することが可能です。
愛犬の体に合った消化性の高いフードを選ぶ
下痢を繰り返す場合、現在与えているフードが愛犬の体に合っていない可能性があります。
消化性の高い原材料を使用しているフードや、アレルギーの原因となりやすい穀物を使用しないグレインフリーのフードなど、様々な種類があります。
愛犬の年齢、犬種、活動量、体質などを考慮し、最適なフードを選びましょう。
腸内環境を整えるプロバイオティクスなどを活用する
腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れると、下痢をしやすくなります。
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌や、そのエサとなるオリゴ糖や食物繊維を含むサプリメントやフードを活用し、腸内環境を健康に保つことも予防策の一つです。
ストレスの少ない落ち着いた生活環境を整える
ストレスは下痢の大きな原因の一つです。
犬が安心して過ごせるように、静かで快適な寝床を用意したり、十分な運動や遊びの時間を確保したりして、ストレスを発散させてあげましょう。
また、留守番の時間が長すぎないか、家族間の不和がないかなど、犬がストレスを感じる要因がないか生活環境全体を見直すことも大切です。
犬の下痢と食事に関するよくある質問
犬の下痢や食事について、飼い主が抱きやすい疑問は数多くあります。
特に、回復期の食事の戻し方や療法食の使用、慢性的な軟便への対応などについては、判断に迷うことが多いかもしれません。
ここでは、そうしたよくある質問に対して回答します。
下痢が回復してきたら、食事はすぐに元に戻すべき?
いいえ、すぐに元の食事に戻すべきではありません。
下痢の症状が治まった後も、胃腸はまだデリケートな状態です。
急に元の食事に戻すと、再び下痢をしてしまう可能性があります。
数日間かけて、ふやかしたフードの水分量を徐々に減らしたり、消化の良い食事に元のフードを少しずつ混ぜたりして、ゆっくりと切り替えていきましょう。
下痢のケアができる療法食は自己判断で与えても問題ない?
自己判断で療法食を与えるのは避けるべきです。
消化器疾患に対応した療法食は、特定の症状や病気に合わせて栄養バランスが調整されています。
下痢の原因に合っていない療法食を選ぶと、かえって症状を悪化させる可能性があります。
必ず獣医師の診断を受けた上で、その指示に従って与えるようにしてください。
少し便が緩い程度の軟便でも食事の工夫は必要?
はい、軟便も消化器系の不調のサインなので食事の工夫をおすすめします。
元気や食欲に問題がなくても、フードの量が多い、脂質が高いなどの原因が考えられます。
まずは1回の食事量を少し減らしたり、フードをぬるま湯でふやかしたりして、消化の負担を軽くしてあげると良いでしょう。
続く場合は動物病院に相談してください。